住友商事を代表企業とし、JR九州、西部ガス、清水建設、大和ハウス工業、東急不動産、西日本新聞社、西日本鉄道で構成される企業グループは、2026年5月16日に福岡市東区の九州大学箱崎キャンパス跡地地区において造成工事の安全祈願祭を執り行いました。本プロジェクトは、国立大学法人九州大学および独立行政法人都市再生機構(UR)九州支社による土地利用事業者募集を経て、2026年3月26日に同グループが土地利用事業者に正式決定されたことで本格始動したものです。
跡地の南北にまたがる約28.5ha(総面積は約56ha)の広大な敷地を一体的に開発し、先進技術の導入によって快適で質の高いライフスタイルを創出する「FUKUOKA Smart EAST」の理念に基づいた日本最大級のスマートシティの実現を目指します。全体設計となるランドスケープデザインは日建設計が担当し、造成工事はフジタ、九州総合建設、西鉄グリーン土木、石勝エクステリアの4社が担い、2028年度中の完了を予定しているとのことです。
九州大学箱崎キャンパス跡地地区の概要
1.住友商事グループを土地利用事業者に正式決定
国立大学法人九州大学と都市再生機構(UR)九州支社による事業者募集を経て土地利用事業者に選定。
JR九州や西部ガスなど8社で構成する企業グループが一体となり、日本最大級のスマートシティ開発を推進。
2.歴史の継承と未来をつなぐまちづくりのコンセプト
コンセプトに「HAKOZAKI Green Innovation Campus」を掲げた歴史と革新が融合する都市。
九州大学が誇る100年の伝統を基盤に、高質なみどり豊かな空間と世界を牽引する未来のモデルを構築。
3.イノベーションを創出する次世代産業拠点と通信基盤
次世代産業創出拠点として、延床面積約10,000㎡の規模を誇る「BOX FUKUOKA」を整備。
革新的な通信技術「IOWN」のユースケース開発を軸に、多様なプレイヤーが集う知的創造の場。
4.食のエンターテインメントと暮らしを支える商業機能
日本最大級の食の体験型観光交流拠点「フクオカサステナブルフードパーク」を先行開業。
ホームセンターを核に、独自の工房や災害時に役立つ備蓄倉庫を備えたライフスタイルセンターを併設。
5.多世代が共生する多様な住宅供給と建物規模
単身者向け、学生・社員寮、高齢者向けに加え、ファミリー向け分譲住宅を段階的に供給。
地上5階の中層から地上18階、高さ約60mに及ぶ高層まで、数十棟の大規模マンションが建ち並ぶ景観。
6.段階的なまちびらきと2036年度の全体概成
2028年度の第1期まちびらきにて、イノベーション拠点やフードパーク、共同住宅などを先行開業。
その後はインターナショナルスクールや総合病院の整備を順次進め、2036年度中にまち全体が完成。
7.2027年度に開業を控える新駅「JR貝塚駅」の整備
大規模都市開発の新たな玄関口として、鹿児島本線の千早駅〜箱崎駅間に新駅を建設中。
2026年5月時点で橋上駅舎や自由通路の鉄骨建方が進み、建物の骨格がほぼ完成する上棟段階。

九州大学箱崎キャンパス跡地地区は、「九州大学箱崎キャンパス跡地グランドデザイン」の実現に向けて、100年以上の歴史を持つ九州大学の広大な敷地を活かし、多様な人々が集まりイノベーションを生み出す拠点を構築することを目的としています。その基盤となるのが、少子高齢化をはじめとするまちづくりの様々な課題を解決しながら持続的に発展することを目指す「FUKUOKA Smart EAST」の理念です。
先端技術の導入によって快適で質の高いライフスタイルと先進的な都市空間を創出し、未来に誇れるまちづくりが取り組まれています。まずはその先駆けとして箱崎の地においてこの取り組みを実践し、その成果を福岡市全体、さらには市域を超えてより多くの人々へ広げていくことを目指しているとのことです。


計画の地となる箱崎は、1911年の九州帝国大学開学以来、100年以上にわたり伝統と誇りが受け継がれてきた場所です。本事業ではその歴史的背景と広大な敷地を最大限に活かし、コンセプトとして「HAKOZAKI Green Innovation Campus 〜世界を牽引する『未来』をつくるまちづくり〜」を掲げています。高質でみどり豊かなまちづくりを進めると同時に、新産業を創造・発信し、環境先進都市として世界を牽引する未来のまちづくりを具現化します。また、革新的な通信技術であるIOWN構想を取り入れることで、常に新しい価値観や技術を取り入れたスマートサービスのアップデートや新サービスの創出ができる環境を構築し、未来のスマートシティモデルの実現を目指しているものです。


持続可能なモデル都市を実現するため、本プロジェクトでは6つの明確なまちづくり方針を定めています。具体的には、九州大学のレガシーを継承して九州の学びを集結した「マナビマチ」を目指す「九州大学100年の歴史の継承」、食・アート・音楽などの文化を次の100年につなぐ「福岡の文化・1000年の歴史の継承」、イノベーションコアを中心に新産業を創造・発信する「新産業の創造と成長」があります。
これらに加え、最先端技術による脱炭素社会の実現と安全安心を追求する「環境先進都市の創造と成長」、エコロジカルネットワークによる「みどりあふれる空間の創出」、そして一人ひとりの人生の質を高める「新しいライフスタイルの創出」のもと、2028年度のまちびらきに向けて都市空間が整備されます。


まちの業務・研究および交流の核として、次世代通信基盤「IOWN」のユースケース開発等を軸としたイノベーション拠点「BOX FUKUOKA」が2028年度に開業する予定です。この施設は3階建て、延床面積約10,000㎡の規模で計画されており、有力企業やスタートアップ企業を誘致して様々な分野の人々がアイデアや知識を共有し、新商品や新技術を生み出す場を提供するものとされています。
1階にはブック&カフェやコワーキングスペース、さらに販売前の商品が体験できるショップやショールームが配置され、2階と3階にはオフィスやコワーキングスペースが整備されます。施設内では年間200回を超えるイベントの開催が予定されており、入居者や周辺住民を中心とした幅広い交流を促進します。


医療・福祉機能を一体的に集約した「ウェルネスゾーン」は、2029年度および2032年度の開業を目指して整備が計画されています。このゾーンは合計約16,600㎡の敷地面積を有し、地域医療の核として約200病床を備える地場総合病院が移転拡張される予定です。これにより、高度で安定した医療サービスが地域住民に提供される体制が整います。さらに、これまで地域の周産期医療を長年にわたって支えてきた産婦人科クリニックの移転もあわせて計画されており、安全安心な出産・育児環境が整備されます。多世代の健康的な暮らしを包括的にサポートする充実した医療・福祉ネットワークが構築されます。


交流とにぎわいをもたらす都市機能として、福岡・九州の豊かな食をテーマにした食の体験型エンターテイメント観光交流拠点「フクオカサステナブルフードパーク」が2028年度に先行開業します。2階建て、延床面積約9,000㎡の規模を誇り、BOX FUKUOKAと共用する約35,000㎡の敷地内に整備されます。
館内には魚や野菜などを扱う生鮮マーケットや、クラフトフードの店舗が入るフードホールが設けられます。約30店舗の飲食店と約1,500席の客席を備える日本最大級のフードパークとなり、IOWNを活用した多様なイベントが開催可能なイベントスペースも併設されます。イベント実施にあたっては周辺の教育環境に配慮し、音響対策や開催日時の調整が行われます。


新産業の創造と成長をさらに加速させるため、業務・研究および交流機能を担う「ライフサイエンスパーク」が2030年度に開業する予定です。この施設は6階建て、延床面積約9,700㎡の規模で計画されており、健康や医療に関連する企業などを積極的に誘致する先進的な拠点となります。
館内には多様な人材同士が最先端の研究開発に共同で取り組めるよう、各種実験機器が提供されるラボやオフィススペースが配置されます。また、研究者同士や外部の人材が自由に交流し、新たな知見やアイデアを共有できるよう、1階部分には店舗や交流スペースといったにぎわい施設が整備され、多様なイベントやセミナーが日常的に開催されます。


住民の生活を強力に支援する商業機能として、ホームセンターを核とした商業施設「ライフスタイルセンター」が2028年度に開業します。施設は3階建て、延床面積約20,000㎡の規模で計画されており、日々の買い物だけでなく、BOX FUKUOKAの入居企業などが活用できる独自の工房を備える点が特徴です。また、地域の安全を支える防災拠点としての機能も兼ね備えており、災害時や非常時に使用できる生活必需品などを収納する備蓄倉庫が整備されるほか、流通備蓄の利用体制も整えられます。さらに、住民のウェルネスやコミュニティ形成を促進するため、フィットネスジムやドッグランといった付加価値の高い施設もあわせて整備されます。

都市空間の設計では、歩行者の安全と回遊性を最優先に高めるため、主要な動線として5つのストリートが整備されます。その骨格となるのが、まちを南北に貫き周辺地域や広場とシームレスに繋がる歩行者専用ネットワーク「歩の軸」です。
各ゾーンの特性に合わせて「サウスリビングストリート(歩の軸)」、「ナレッジストリート」、「ウェルネスストリート」、「ウェルカムストリート」、「ノースリビングストリート」が配置され、安全に移動できる歩行者ネットワークが形成されます。これらのストリートと自動車車路が交錯する部分については、民地内での路面標示や注意喚起を徹底するほか、交差点のスクランブル化や横断歩道の設置に向けて交通管理者との協議を継続し、徹底した歩車分離と安全性の確保が図られます。


ナレッジゾーンとして位置付けられた教育機能を有するエリアは、2028年度から2030年度にかけて段階的に整備が進められます。ここには、日本人と外国人が共学で国際的に通用するカリキュラムを学ぶ、生徒数300名程度のインターナショナルスクールが2030年度を目途に整備される計画です。
さらに、生徒数700名程度を想定した日本人と外国人が共に学ぶ外国語専門学校の移転も計画されており、学生棟のほか寮やホテル棟が設置されます。また、幼児・児童向けの教室や中高生向けの学習塾に加え、サービス付き高齢者向け住宅などを備えた多世代交流施設も配置され、幅広い世代が日常的に触れ合い、交流できるスペースが確保されます。


全体で約28.5ha(総面積は約56ha)に及ぶ広大な敷地の再開発は、社会情勢やインフラの進捗に合わせて段階的に進められます。まず2028年度の第1期まちびらきに向けて、まちの中核施設であるBOX FUKUOKAやフードパーク、一部の商業施設、および共同住宅などが先行して開業する予定です。
この段階で、まちの骨格となる主要なインフラや造成工事も完了を迎えます。その後、2029年度には多世代交流施設や医療機能の一部が始動し、2030年度にはインターナショナルスクールの開校やライフサイエンスパークの開業が続きます。さらに2032年度には総合病院の整備が完了し、最終的には2036年度中にまち全体のすべての施設が概成し、完成された持続可能な未来都市が誕生する計画です。


居住機能の整備においては、学生・社員寮を含む計3,000戸の多様な住宅が供給され、多世代が共生する都市構造が形成されます。住宅のタイプは、ファミリー向けの分譲住宅をはじめ、単身者向け賃貸住宅、高齢者向け住宅など、あらゆるライフステージに対応できるよう計画されています。
企業の社員寮や学生寮の低層部には、入居者同士の交流を促進するための共有スペースが設けられます。特にファミリー向けの共同住宅に関しては、2028年度の第1期まちびらき以降、サウスおよびノースリビングゾーンから年度ごとに約250戸ずつ段階的に供給され、最終的には合計2,000戸規模に達する見込みです。建物規模は地上5階程度の中層から、地上18階、高さ約60mに及ぶ高層まで、板状の大規模なマンションが数十棟にわたって建ち並ぶ景観が形成されます。


エコロジカルネットワーク「箱崎創造の森」の創出を目指し、敷地全体で緑化率約40%、総樹木本数10,000本以上を確保する圧倒的な緑化計画が推進されています。地上部の緑化だけでなく、壁面緑化や屋上緑化を積極的に組み合わせることで、人の目線からの圧倒的な緑量を増やし、建物全体を立体的に包み込む緑豊かな潤いのある空間が整備されます。
景観の形成にあたっては、環境影響評価に基づいた保全樹林の適切な維持に加え、九州大学時代から受け継がれてきた既存樹木を樹木医の判断のもとで積極的に活用し、歩の軸や広場に移植します。また、移植が困難な樹木はサイン等のパブリックアートとして再利用され、100年の歴史の記憶を未来へと継承します。


九州大学箱崎キャンパス跡地地区では、共通IDやデータ連携基盤を活用し、住民や来訪者の「生活の質」「空間の質」「仕事の質」を向上させることで、一人ひとりの人生の質を高めるスマートサービスが導入されます。このサービスは4つの主要なコンセプトに基づき構築されています。
具体的には、利用者のニーズを随時反映させてみんなで生み出す「コ・クリエイション」、利用者の属性や好みに最適化する「パーソナライズ」、生体認証などを活用して誰でも簡単に使える「インクルーシブ」があります。そして、最先端の通信技術であるIOWN等と融合させることで、時代の変化や技術の進化に合わせてサービスを常に進化可能な仕組みにする「レボリューション」が組み込まれ、持続的にアップデートされる都市を目指すものとされています。

スマートサービスの社会実装に向けて、計画地全体を先進技術の実証フィールドとして活用する体制が構築されます。具体的なプロセスとして、まずはエリアマネジメント活動やコミュニティ形成事業「(仮称)未来を拓こう会」、さらにはタウンポータルや施設管理組合へのヒアリングを通じて、居住者や立地企業から潜在的なニーズや社会的課題を発掘・整理します。
抽出された課題を解決するため、BOX FUKUOKAの入居企業や立地企業と意見交換を重ねてPoC(実証実験)の企画に仕立て、独自のネットワークを活用して広く実施企業を募集します。その後、居住者への丁寧な周知やモニター募集、体験イベントの開催を経て、地区内居住者が納得するまでレビューと評価を繰り返し、サービスの実装へと繋げていきます。


交通計画では、歩行者や公共交通を重視し、周辺地域との繋がりを強化する「人と地域が主役の交通計画」が掲げられています。2028年度には来訪者の多いイノベーションコアに各種交通モードの乗降場を備えた交通広場が整備され、路線バスの延伸対応が行われます。
さらに、移動距離や利用者の属性に応じた次世代のシェア型モビリティとして、カーシェアやEVスクーター、子供乗せ対応のEVサイクル、EVキックボード、シェア電動車いすなどが順次導入されます。また、事業区域内およびその周辺地域をカバーするオンデマンドのデマンドバスが運行され、区域内に14ヶ所設置されるミーティングポイントを活用して、シームレスでストレスのない移動環境が提供されます。


環境先進都市として、2028年のまちびらき時から段階的に取り組みを推進し、2040年を待たずにエリア全体でCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指しています。共通仕様として分譲・賃貸マンションはZEH-M Oriented、その他の建物はZEB Orientedの基準を満たし、業務・研究やにぎわい施設ではZEB Readyの達成を目指して徹底した省エネ化が図られます。
さらに、各建物の屋根面積の約30%に太陽光パネルを設置して再生可能エネルギーを確保するほか、純水素燃料電池を活用した水素利活用計画が推進されます。エネルギーマネジメントシステム(EMS)を導入し、エネルギー使用量やCO2排出削減量をタウンポータルで可視化・管理しながら、地域エネルギーの最適化を図ります。

スマートシティの新たな玄関口として、JR九州が鹿児島本線の千早駅〜箱崎駅間で建設を進めている新駅「JR貝塚」駅は、2027年の開業に向けて工事が本格化しています。2026年5月時点において、橋上駅舎と自由通路の鉄骨建方が進んだことで建物の骨格がほぼ完成する上棟段階に達しており、ホーム上屋の鉄骨も姿を現して駅の全体像が明瞭になっています。この新駅の名称は2025年に実施された公募によって選ばれたもので、周辺インフラも着実に進化を遂げています。
すでにウェルカムストリート(箱崎140号線)や、箱崎九大前駅と貝塚駅を結ぶ箱崎146号線の道路整備は完了して通行可能となっているほか、ノースリビングストリートでも街灯の設置など道路整備が始まっており、広大な跡地は未来の都市へと変貌を遂げつつあります。
出典
・住友商事株式会社 【日本最大級のスマートシティ2028年度に福岡に誕生】九州大学箱崎キャンパス跡地地区におけるまちづくり土地利用事業者に正式決定
・住友商事株式会社 日本最大級のスマートシティ2028年度に福岡に誕生九州大学箱崎キャンパス跡地地区におけるまちづくり 土地利用事業者に正式決定
・国立大学法人九州大学 箱崎キャンパス跡地利用
・福岡市 九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくり
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最終更新日:2026年5月19日