千葉県柏市のつくばエクスプレス(TX)「柏の葉キャンパス駅」周辺では、「柏都市計画事業 柏北部中央地区一体型特定土地区画整理事業」が進められています。施行面積は約272.9ha、計画人口は約26,000人に及び、千葉県が事業主体となって2000年から整備を推進している大規模プロジェクトです。
柏北部中央地区一体型特定土地区画整理事業は、TX整備と一体となった沿線開発として進められており、駅前を中心に商業・業務機能を集積させながら、住宅、研究開発施設、教育機関、自然環境が調和した次世代都市の形成を目指しているものとなっています。周辺には東京大学柏キャンパスや千葉大学、国立がん研究センター東病院、産業技術総合研究所柏センターなどが立地し、「柏の葉国際キャンパスタウン構想」や「柏の葉スマートシティ」の中核エリアとして発展を続けています。
また、環境共生やエネルギーマネジメント、ウォーカブルな都市空間づくりなど先進的な都市政策も導入されており、柏の葉スマートシティではLEED-NDプラチナ認証取得、日本初の街区間電力融通システム「AEMS」の導入など、全国でも先進的なスマートシティとして注目を集めています。現在もタワーマンションや研究施設の建設、道路整備、公園整備などが続いており、柏北部エリアはさらなる進化を遂げようとしています。
柏北部中央地区一体型特定土地区画整理事業の概要
1.TX沿線開発と一体で進む大規模土地区画整理事業
柏の葉キャンパス駅周辺約272.9haを対象に進む千葉県施行の大規模都市開発事業。
研究・商業・住宅・自然環境を融合した次世代複合都市形成の推進。
2.つくばエクスプレス開業による街の大変貌
旧ゴルフ場や農地を中心とした地域がTX開業を契機に大規模都市へ転換。
商業施設やタワーマンション、研究施設が集積する先進都市への成長。
3.柏の葉スマートシティとして進む先進的まちづくり
公・民・学連携により「新産業創造」「健康長寿」「環境共生」を推進。
日本初の街区間電力融通システム「AEMS」導入による先進スマートシティ化。
4.柏の葉国際キャンパスタウン構想による研究都市形成
東京大学や千葉大学、国立がん研究センターなどが集積する学術研究拠点。
大学・研究機関・企業・市民が連携する国際学術都市形成構想の推進。
5.駅前に広がる商業施設とウォーカブル空間
ららぽーと柏の葉や柏の葉T-SITEなど大型商業施設群の集積。
歩いて楽しめる都市空間形成を重視したウォーカブルな街並み整備。
6.研究開発拠点や超高層住宅など続く大型開発
KOILや日本製鋼所中央研究所計画などイノベーション拠点整備の進展。
地上43階建て「パークタワー柏の葉キャンパス」建設による新ランドマーク形成。
7.環境共生と広域連携で進化を続ける柏北部エリア
アクアテラスやこんぶくろ池自然博物公園など自然共生型空間の整備。
柏たなか地区との連携や道路・公園整備による広域的都市形成の進展。

「柏北部中央地区一体型特定土地区画整理事業」は、つくばエクスプレス建設と一体的に進められている千葉県施行の大規模土地区画整理事業です。事業区域は柏の葉キャンパス駅を中心とした約272.9haに及び、総事業費は約1,187億円、施行期間は2000年8月から2032年3月末までとなっています。

地区は国道16号や常磐自動車道柏ICに近接する交通結節点であり、鉄道・道路ネットワークを活かした新たな都市拠点として位置づけられています。都心から30km圏にありながら広大な開発余地を有していたことから、TX沿線開発の中でも特に重要なエリアとして整備が進められてきました。


単なる住宅開発ではなく、研究開発・商業・居住・自然環境を融合させた複合都市の形成が大きな特徴です。さらに、防災性向上や環境負荷低減、歩行者中心の都市設計など、従来型ニュータウンとは異なる次世代都市モデルとして計画されている点も特徴となっています。

現在の柏の葉キャンパス駅周辺は、かつて三井不動産系の「柏ゴルフクラブ」や農地、山林が広がる地域でした。2005年につくばエクスプレスが開業し、柏の葉キャンパス駅が誕生したことで街の風景は大きく変化しました。

駅名は、県立柏の葉公園と東京大学柏キャンパスに由来しています。当初の仮称は「柏北部中央」でしたが、学術都市としてのイメージを重視し現在の名称となりました。名称変更によって都市ブランドの形成も意識され、現在では全国的にも知名度の高い駅名となっています。


TX開業後は駅前開発が本格化し、商業施設、マンション、研究施設などが次々に整備され、現在では首都圏有数のスマートシティへと成長しています。秋葉原まで快速利用で約30分というアクセス性も評価され、近年はファミリー層を中心に人口流入が続いています。


柏の葉エリアでは、「公・民・学」連携による先進的な街づくりが進められています。千葉県、柏市、東京大学、千葉大学、三井不動産などが連携し、「柏の葉スマートシティ」を推進しています。
街づくりのテーマは「新産業創造」「健康長寿」「環境共生」の3つです。研究機関やベンチャー企業が集積するイノベーション拠点形成に加え、健康増進プログラムや再生可能エネルギー活用など、未来型都市の実現を目指しています。
特にエリアエネルギーマネジメントシステム「AEMS」は、日本初の街区間電力融通を実現したシステムとして知られており、災害時のBCP対策にも貢献しています。また、AIやIoTを活用したスマートモビリティ実験、自動運転サービスの実証実験なども実施されており、先端技術の社会実装の場としても注目されています。

柏の葉キャンパス駅周辺約13平方kmを対象として進められているのが「柏の葉国際キャンパスタウン構想」です。2008年に千葉県、柏市、東京大学、千葉大学の4者によって策定されました。


構想では「国際的な学術・教育・文化空間の形成」など8つの目標を掲げており、大学や研究機関、企業、市民が交流する国際学術都市を目指しています。研究成果を社会実装へ結びつける都市モデルとして、国内外から視察も多く訪れています。

東京大学柏キャンパスや千葉大学環境健康フィールド科学センター、国立がん研究センター東病院などの集積により、研究開発都市としての存在感も高まっています。近年はライフサイエンスや医療、宇宙関連研究などの分野でも連携が広がっています。

柏の葉キャンパス駅前には、「ららぽーと柏の葉」を中心とした大型商業施設が集積しています。2006年に開業したららぽーと柏の葉は、柏ゴルフクラブ跡地を活用した最初期の大型開発であり、街の“コア(核)”となっています。


また、ライフスタイル提案型施設「柏の葉T-SITE」、TX高架下の「柏の葉かけだし横丁」なども整備され、多様な商業機能が駅周辺に集約されています。カフェやシェアオフィス、地域コミュニティ施設なども充実しており、単なる買い物拠点ではない“交流拠点”としての役割も果たしています。
単なる郊外型商業施設ではなく、歩いて楽しめる都市空間として計画されている点が特徴であり、ウォーカブルな街づくりにも寄与しています。駅前広場やペデストリアン空間も整備され、イベント開催時には多くの来街者で賑わいます。

柏の葉エリアには、東京大学柏キャンパス、千葉大学、産業技術総合研究所柏センターなど、国内有数の研究機関が集積しています。
さらに、「KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)」では、スタートアップや研究者、クリエイターなどが交流し、新たな事業創出が進められています。IoTやAI、ライフサイエンス分野を中心に、多数の実証実験や共同研究が行われています。
近年では「KOIL BASE」など次世代ハードテック拠点の整備も進み、柏の葉は“研究学園都市”としての性格を一層強めています。ディープテック分野のスタートアップ育成も進められており、産学官連携による新産業創出のモデルケースとして期待されています。

イノベーションキャンパス地区136街区では、「株式会社日本製鋼所中央研究所(仮称)」の計画が浮上しています。2027年度下期の運用開始が予定されており、新素材や半導体関連技術などの研究開発拠点として整備されます。


敷地面積は約11,265㎡で、事務所棟、試験棟、実験棟などを配置。開設当初は約30人規模、将来的には100人規模の研究体制を想定しているとのことです。

大学や研究機関、ベンチャー企業が集積する柏の葉ならではのオープンイノベーション環境を活かした研究拠点として期待されています。周辺研究機関との共同研究や人材交流なども視野に入っており、柏の葉エリア全体の研究開発機能強化にもつながる可能性があります。

柏の葉キャンパス駅近くでは、地上43階、高さ約161mの超高層タワーマンション「パークタワー柏の葉キャンパス」の建設が進められています。総戸数は629戸で、柏の葉エリア最高層となるランドマークタワーです。デザインテーマは「頂」で、ガラス手すりやライトアップ演出によって未来都市らしいスカイラインが形成されます。
共用施設にはスカイラウンジ、ワークスペース、フィットネスルームなどを備え、多世代型スマートレジデンスとして整備されます。テレワーク対応や防災機能強化なども特徴となっており、次世代型住宅としての注目度も高まっています。

柏の葉スマートシティを象徴する空間の一つが「柏の葉アクアテラス」です。従来は単なる調整池だった空間を、市民が憩える親水空間へと再生しました。
UDCK、千葉県、柏市、民間事業者が連携し、水辺デッキや緑地、歩行者空間などを整備。現在ではイベント開催や散策スポットとして親しまれています。夜間景観にも配慮されており、都市空間としての魅力向上にも貢献しています。

また、周辺には「こんぶくろ池自然博物公園」もあり、都市開発と自然保全を両立した柏の葉らしい景観形成が進められています。生物多様性保全や雨水循環利用など、環境配慮型都市としての取り組みも特徴です。

柏の葉キャンパス周辺では、歩きやすい街路空間づくりが重視されています。歩道空間には植栽帯や庇、オープンスペースを設け、年間を通じて快適に歩ける環境づくりが進められています。
また、街区緑化率25%、地区緑被率40%を目標とし、環境性能の高い街づくりも推進。ZEB・ZEH導入、LEEDやCASBEE活用、BELS認証なども積極的に採用されています。


2016年には、柏の葉スマートシティ全体が日本初となるLEED-NDプラチナ認証を取得しました。環境性能だけでなく、コミュニティ形成や交通政策など総合的な都市品質が高く評価されています。

北側に位置する柏たなか駅周辺でも、「柏北部東地区一体型特定土地区画整理事業」が進められてきました。こちらはUR都市機構施行による約128haの区画整理で、2022年に事業完了しています。


柏たなか地区では、「農あるまちづくり」をテーマに、水と緑のネットワーク、公園整備、桜並木形成などが進められています。都市近郊農業との共存を重視した街づくりが特徴であり、柏の葉地区とは異なる魅力を形成しています。


さらに、都市軸道路の整備により、柏の葉キャンパス地区と柏たなか地区の一体的な都市形成が進みつつあります。TX沿線全体での人口定着や産業集積効果も期待されています。


2026年5月時点でも、柏の葉エリアでは多くの開発が進行しています。都市軸道路の一部開通により交通利便性は向上し、柏たなか方面との接続強化も進んでいます。


また、正連寺付近では2号近隣公園整備工事が進行中であり、教育施設では田中中学校の増築も行われています。さらに、日本製鋼所中央研究所計画やパークタワー柏の葉キャンパス建設など、新たな大型プロジェクトも相次いでいます。

柏の葉キャンパス駅周辺は、単なるニュータウンではなく、「研究」「環境」「健康」「交流」を融合した次世代都市として、今後も進化を続けていくことになりそうです。今後はさらなる人口増加や企業進出、研究機能強化も見込まれており、日本を代表するスマートシティの一つとして発展を続けていくことが期待されます。
出典
・柏市 柏区画整理事務所
・三井不動産株式会社 柏の葉スマートシティについて
・柏の葉スマートシティ 公式サイト
過去の施行状況
→2019年5月15日投稿 柏都市計画事業柏北部中央地区一体型特定土地区画整理事業
→2019年5月21日投稿 柏都市計画事業柏北部中央地区一体型特定土地区画整理事業 vol.2
→2019年1月25日投稿 柏都市計画事業柏北部中央地区一体型特定土地区画整理事業
→2019年1月25日投稿 柏都市計画事業柏北部中央地区一体型特定土地区画整理事業 vol.2
最終更新日:2026年6月6日