佐賀県鳥栖市は、新鳥栖駅東側約13ヘクタールを対象とした「新鳥栖駅東側まちづくり検討調査」の結果を公表しました。対象地は現在、市街化調整区域となっており、新幹線駅に隣接しながらも本格的な都市的土地利用が進んでいないエリアです。調査では、駅を中心とした広域交流拠点としての機能強化を目指し、住宅ゾーンや商業ゾーン、公園ゾーンを配置するゾーニング構想案が示されました。
また、整備手法については道路や公園、排水施設などを一体的に整備する「面的整備」が望ましいと評価され、土地区画整理事業を軸としたまちづくりが有力な選択肢として整理されています。なお、公表されたゾーニング図は現時点では構想段階であり、位置や形状は確定していません。
新鳥栖駅東側まちづくりの概要
1.新鳥栖駅東側まちづくり検討調査の概要
鳥栖市が新鳥栖駅東側約13haを対象に実施したまちづくり検討調査。
計画的な市街地整備に向けた基本構想と実現方策の検討結果の公表。
2.広域交流拠点としての新鳥栖駅周辺
新鳥栖駅周辺を観光やビジネスを支える広域交流拠点として位置付け。
新幹線駅の拠点性を活かした都市機能集積と交流人口拡大への期待。
3.市街化調整区域約13haの開発検討
対象地は住宅や農地が混在する市街化調整区域として残されたエリア。
未利用ポテンシャルの活用と都市的土地利用への転換に向けた検討。
4.住宅・商業・公園を配置したゾーニング構想
駅周辺に商業ゾーン、その周辺に住宅ゾーンや公園ゾーンを配置する構想。
居住・交流・憩いの機能が調和した複合市街地の形成方針。
5.土地区画整理事業を軸とした面的整備
公共用地不足率53.3%を踏まえた道路・公園・排水施設の一体整備。
地区全体の再編と都市基盤整備を可能とする土地区画整理事業の有力化。
6.九州新幹線の結節点である新鳥栖駅
2011年の九州新幹線全線開業に合わせて整備された新幹線・在来線接続駅。
佐賀県東部の広域交通拠点として機能する重要な交通結節点。
7.新鳥栖駅西土地区画整理事業との連携
新幹線開業に合わせて西側で実施された土地区画整理事業による基盤整備。
東西一体のまちづくりによる新たな都市拠点形成への展望。

今回の調査対象地は、新鳥栖駅東側に広がる約13ヘクタールの区域です。区域内には住宅地や農地、水田などが混在しており、多くが市街化調整区域に指定されています。
鳥栖市都市計画マスタープランでは、新鳥栖駅周辺を「広域交流拠点」と位置付けており、観光やビジネス、交流人口の拡大を担う重要なエリアとされています。しかし、新鳥栖駅西側では土地区画整理事業が実施された一方で、東側は十分な市街地整備が進んでおらず、新幹線駅のポテンシャルを活かしきれていない状況でした。
そこで鳥栖市は、現況調査や課題整理、将来の土地利用計画の検討を行い、新鳥栖駅東側のまちづくり基本構想の策定に着手しました。今回公表された内容は、その第一段階となる将来構想案です。

公表されたゾーニング図では、新鳥栖駅を中心として複数の機能を配置する構想が示されています。駅周辺には商業ゾーンを配置し、新幹線利用者や地域住民が利用できる店舗やサービス施設の立地を想定しています。駅前空間のにぎわい創出や交流機能の強化が期待されます。


その周辺には住宅ゾーンが配置され、駅近接の利便性を活かした居住エリアの形成を目指すものとされています。新幹線や在来線を利用した通勤・通学の利便性を背景に、新たな定住人口の受け皿となることが期待されています。
さらに、区域内には複数の公園ゾーンが計画されており、市民公園との連携や緑地ネットワークの形成も意識されています。住宅、商業、公共空間がバランス良く配置された複合的な市街地の形成が基本的な方向性となっています。

調査では、整備手法についても比較検討が行われました。対象地区は13ヘクタールのうち、道路や公園などの公共用地が不足しており、公共用地不足率は53.3%に達しています。市街化区域へ編入する場合には、道路、公園、排水施設などの都市基盤整備を計画的に進める必要があります。


調査結果では、「地区計画や開発許可による部分的整備」と「道路事業などの線的整備」、「土地区画整理事業による面的整備」を比較した結果、駅を中心とした一体的なまちづくりを実現するためには面的整備が最も適していると判断されました。
土地区画整理事業であれば、既存住宅や農地を含めて道路や公園を再配置できるほか、土地利用の高度化や宅地の有効活用も可能となります。今後、事業化に向けて地権者との調整や市街化区域編入の検討が進められる可能性があります。


新鳥栖駅は2011年3月の九州新幹線全線開業に合わせて開業した駅で、九州新幹線と長崎本線が接続する交通結節点です。
新幹線では「さくら」と「つばめ」が停車し、在来線特急も停車することから、佐賀県東部の重要な交通拠点となっています。2022年の西九州新幹線開業以前は、佐賀県唯一の新幹線駅として機能していました。


駅周辺には広大な駐車場が整備されており、鳥栖市だけでなく佐賀市や県東部地域からも利用者が集まります。実質的には佐賀県全体の新幹線玄関口としての役割を担っており、中国地方や関西方面への広域移動を支える重要な交通拠点となっています。
鳥栖市が東側地区の開発を進めようとしている背景には、この高い交通利便性があります。新幹線駅前という立地を活かし、居住、商業、業務機能を集積させることで、鳥栖市の新たな成長エンジンとする狙いがあります。

新鳥栖駅周辺では、九州新幹線開業に先立って2008年度から2014年度にかけて「新鳥栖駅西土地区画整理事業」が実施されました。この事業は、新鳥栖駅を核とした交流拠点都市の形成を目的として進められ、道路や上下水道などの都市基盤整備とともに宅地利用の促進が図られました。駅西側では九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット)をはじめ、駐車場やレンタカー営業所などが整備され、新幹線駅周辺の都市機能が強化されています。


鳥栖市は当時の基本構想や地元との協議内容も今回の調査で再検証しており、東西の役割分担を踏まえたまちづくりを検討しています。西側が医療・交流拠点として整備されたのに対し、東側では住宅や商業機能を中心とした新たな市街地形成が想定されており、将来的には新鳥栖駅を中心とした一体的な都市空間が形成される可能性があります。
今回公表されたゾーニング構想はあくまでたたき台ですが、実現すれば新鳥栖駅周辺は東西合わせて大きく姿を変えることになります。九州新幹線の交通結節点としての強みを活かしながら、鳥栖市の新たな広域交流拠点づくりが今後本格化していくことになりそうです。
出典:鳥栖市 【審査結果公表】令和8年度 新鳥栖駅まちづくり促進調査業務に係る公募型プロポーザルについて
最終更新日:2026年6月5日