福岡県北九州市の「北九州の台所」として100年以上の歴史を誇る旦過市場(たんがいちば)では、防災性の向上と市場機能の継承を目的とした「旦過地区再整備事業」が進められています。その中核施設となる「旦過市場いちばん館」の2階~4階について、北九州市は公募型プロポーザルを実施した結果、大英産業を優先交渉権者に選定しました。
大英産業は「旦過市場らしさ」の継承と発展、新たな市場ファンの獲得、北九州独自の食文化の発信を基本方針に掲げ、飲食フロアや駐車場を含めた施設運営を担います。民間活力を活用することで市場全体の魅力向上を図り、歴史ある旦過市場を次の100年へつなぐ再整備が本格的に進められます。
旦過市場地区再整備事業の概要
1.100年の歴史を未来へつなぐ再整備
100年以上にわたり「北九州の台所」として親しまれてきた旦過市場の再生プロジェクト。
防災性の向上と市場文化の継承を両立し、次の100年を見据えた大規模再整備。
2.大英産業が優先交渉権者に選定
「旦過市場いちばん館」2階~4階の公募型プロポーザルで大英産業を優先交渉権者に選定。
飲食フロアや立体駐車場を含めた施設運営を担う新たな事業パートナーの決定。
3.市場の魅力を受け継ぐ施設コンセプト
「旦過市場らしさ」の継承と発展、新たな市場ファンの獲得を基本方針に設定。
北九州独自の多様な食文化を発信する交流・にぎわい拠点の形成。
4.市場と連携した新たな飲食空間
2階には北九州の食を楽しめる飲食フロアを整備し、市場との回遊性を向上。
市場全体の滞在価値を高め、地域住民と観光客の双方を呼び込む空間づくり。
5.市場だけではない複合的なまちづくり
河川改修や土地区画整理、大学整備などを一体的に進める都市再生プロジェクト。
商業・教育・観光機能を融合した新たな小倉都心の形成。
6.民間活力による地域活性化
行政と民間企業が連携し、市場の持続的な運営とエリア全体の価値向上を推進。
地域愛着経営を掲げる大英産業による新たなにぎわい創出への期待。
7.次の100年へ向けた新たなスタート
歴史ある市場文化を未来へ継承し、安全で魅力ある市場への再生を推進。
北九州を代表する商業・観光・交流拠点としてのさらなる発展への期待。

旦過市場は大正時代初期に神嶽川の荷揚げ場として誕生し、100年以上にわたり北九州市民の食生活を支えてきた歴史ある市場です。鮮魚や青果、精肉、惣菜など数多くの店舗が軒を連ね、「北九州の台所」として市民だけでなく料理人や観光客からも親しまれてきました。
一方で、昭和30年代に建てられた木造建築が密集していたことから老朽化が進み、2009年・2010年には豪雨による浸水被害、さらに2022年には2度の大規模火災に見舞われるなど、防災面の課題が顕在化しました。こうした状況を受け、北九州市では河川改修事業と土地区画整理事業を一体的に進め、安全性を確保しながら市場文化を未来へ継承する「旦過地区再整備事業」を推進しています。

再整備の第一段階となるA地区では、地上4階建ての「旦過市場いちばん館」が建設されています。この施設は1階に市場店舗、2階に飲食フロア、3・4階に立体駐車場を配置する計画となっています。当初は市場関係者が設立した会社が2階部分を取得する予定でしたが、事業環境の変化などを受けて断念したため、北九州市は2階から4階までを一括して売却・運営する事業者を公募しました。
一度は取得を検討していた事業者が物価高騰などを理由に撤退し、公募は難航しましたが、最終的に1968年創業の総合不動産会社である大英産業が優先交渉権者に選定されました。同社はこれまで培ってきた不動産開発や建物再生のノウハウを活かし、新たな市場運営に取り組むことになります。

大英産業は施設運営にあたり、「旦過市場らしさ」の継承と発展、「新たな旦過市場ファン」の獲得、「北九州独自の多様な食文化の発信拠点づくり」の3つを基本方針として掲げています。長年受け継がれてきた市場文化や対面販売の魅力を守りながら、新しい飲食店や交流機能を導入し、地域住民だけでなく観光客や若い世代にも魅力ある施設を目指すものとしています。
2階には北九州各地の食文化を楽しめる飲食フロアを整備し、1階市場との回遊性を高めることで、市場全体のにぎわいを創出するものとされています。2026年7月1日に開催された北九州市との合同記者会見では、大英産業がこうした施設コンセプトや今後の運営方針を正式に発表しました。

旦過地区再整備は市場施設の建て替えにとどまらず、地区全体の価値を高める都市再生プロジェクトとして進められています。A地区では市場機能と飲食・駐車場機能を整備するほか、BC地区には北九州市立大学の新学部が設置される予定となっており、学生や教職員が日常的に行き交う新たな交流拠点が誕生します。
また、神嶽川の河川改修や水辺空間の整備、防災性の向上なども並行して進められ、魚町銀天街や小倉駅周辺との回遊性を高めるまちづくりが計画されています。市場・大学・商業・観光が一体となることで、小倉都心部全体の活性化につながることが期待されています。

今回、大英産業が「旦過市場いちばん館」の2階~4階の優先交渉権者に選定されたことで、旦過地区再整備は新たな段階へと進みます。今後は市場関係者や地域住民、行政、民間事業者が連携しながら、歴史ある市場の魅力を守りつつ、新しいにぎわいを創出する取り組みが本格化します。
再整備では「安全性の確保」と「市場らしさの継承」の両立を目指しており、飲食や観光、教育など多様な都市機能を取り入れた新しい市場へ生まれ変わる計画です。100年以上続く旦過市場の歴史を未来へ受け継ぎ、北九州を代表する商業・観光・交流拠点としてさらなる発展を遂げることが期待されています。
出典
・大英産業株式会社 旦過市場いちばん館(2階~4階)の優先交渉権者に選定されました
・北九州市 旦過市場の再整備に向けて(報告)
・北九州市 北九州市立大学新学部開設事業の公共事業評価について
最終更新日:2026年7月3日